2019年09月12日
主陣地陥落
暫しの休息の指示が出て俺は身体を横臥し仮眠した。
休憩中と言えども状況下にあるので、分隊は分隊長の統制下にある。
報告なしに無断で現在地を離れ厠に向かった分隊員が、分隊長から報告をするように指導を受けていた。
統制と言えば、第3回この戦場は南方は、兵のみの募集となっていた。日本陸軍の場合、兵とは兵長、上等兵、一等兵、二等兵である。伍長以上は兵ではない。主催から何らかの補職を受けた者以外が、自己の判断で募集階級以外の階級章をつけて状況に参加するのはイベントの趣旨を理解していないと言わざるを得ない。今回のイベントでは分隊に下士官は分隊長ただ一人であるのだ。
主陣地が陥落した。我が分隊は休息を切り上げ、さらに後方に下がり、その場所で全周警戒の指示が出た。
分隊長は状況外の発言と前置きした上で「主陣地の陥落というところまでがシナリオだった。この後、後退するか、奪還するかはシナリオにはなく、小隊長殿の判断になる」と我々に告知した。
小隊長から、主陣地奪還の命が発せられた。
攻撃の際は小隊長を中心に、我が分隊と隣の分隊が横隊となって突撃する。
具体的に誰がどこに配置されるかという指示が出された。
俺はこのまま後退すれば良いのに、なぜ奪還するのだろうと疑念を抱いた。小隊長は功を焦っているのか。しかし、すでに退路を断たれ前進することしか路が無いのかもしれない。そのあたりの判断根拠は俺には分からない。
分隊員は分隊長の指示のみを聞いていればよいのだ。
突撃発起位置に移動した。着剣の指示が出た。俺の牛蒡剣を見れば、着剣用の溝に泥が詰まっていた。壕内での待機時に泥が付着し溝に入り込んだのだ。
慌てて足元の小枝を拾い、それを用いて泥を掻き出して想定上のみで着剣した。
突撃の号令を聞いた俺は、他の分隊員とともに前方に駆けた。
敵陣地に近づくと、手榴弾が飛んできた。その軌道が放物線を描く様が、まるでスローモーションのように、俺の目に映った。
そして俺の足下に落ちた。腹に熱いものが迸った。俺はゆっくりと崩れ落ちた。ああ、だから陣地奪還なんかしなけりゃ良かったんだ、俺は薄れゆく意識の中でそんなことを考えていた。

休憩中と言えども状況下にあるので、分隊は分隊長の統制下にある。
報告なしに無断で現在地を離れ厠に向かった分隊員が、分隊長から報告をするように指導を受けていた。
統制と言えば、第3回この戦場は南方は、兵のみの募集となっていた。日本陸軍の場合、兵とは兵長、上等兵、一等兵、二等兵である。伍長以上は兵ではない。主催から何らかの補職を受けた者以外が、自己の判断で募集階級以外の階級章をつけて状況に参加するのはイベントの趣旨を理解していないと言わざるを得ない。今回のイベントでは分隊に下士官は分隊長ただ一人であるのだ。
主陣地が陥落した。我が分隊は休息を切り上げ、さらに後方に下がり、その場所で全周警戒の指示が出た。
分隊長は状況外の発言と前置きした上で「主陣地の陥落というところまでがシナリオだった。この後、後退するか、奪還するかはシナリオにはなく、小隊長殿の判断になる」と我々に告知した。
小隊長から、主陣地奪還の命が発せられた。
攻撃の際は小隊長を中心に、我が分隊と隣の分隊が横隊となって突撃する。
具体的に誰がどこに配置されるかという指示が出された。
俺はこのまま後退すれば良いのに、なぜ奪還するのだろうと疑念を抱いた。小隊長は功を焦っているのか。しかし、すでに退路を断たれ前進することしか路が無いのかもしれない。そのあたりの判断根拠は俺には分からない。
分隊員は分隊長の指示のみを聞いていればよいのだ。
突撃発起位置に移動した。着剣の指示が出た。俺の牛蒡剣を見れば、着剣用の溝に泥が詰まっていた。壕内での待機時に泥が付着し溝に入り込んだのだ。
慌てて足元の小枝を拾い、それを用いて泥を掻き出して想定上のみで着剣した。
突撃の号令を聞いた俺は、他の分隊員とともに前方に駆けた。
敵陣地に近づくと、手榴弾が飛んできた。その軌道が放物線を描く様が、まるでスローモーションのように、俺の目に映った。
そして俺の足下に落ちた。腹に熱いものが迸った。俺はゆっくりと崩れ落ちた。ああ、だから陣地奪還なんかしなけりゃ良かったんだ、俺は薄れゆく意識の中でそんなことを考えていた。

Posted by 第3回この戦場は南方参加者 at 18:06│Comments(0)
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